小口化と頻度増加によって人手不足が深刻化
国内企業や個人宅向けの荷物を集配するのが運送業界です。
中でも最も数多くの配達がされるのが陸運で、トラックに数多くの荷物を積み込み各地に配達していくという業務のニーズは年々増え続けています。
この原因はもちろんインターネット通販の拡大によるもので、その結果それまでの企業向けの大口配送業務を圧迫する勢いで個人向けの小口配送が増えることになりました。
もう一つ隠れた原因となっているのが国内工場の海外移転で、国内の製造メーカーが海外に工場拠点を移していったことにより、国内の貨物輸送量そのものはここ10年で激減しています。
つまり言い換えれば安値で数多くの分量を輸送する仕事が増えたということになり、それが運送業界に大きな人材不足を招くことになりました。
加熱する運送業界同士の競争
日本国内の輸送サービスを行う企業としては、業界最大手である「ヤマトホールディングス」が強い存在感を持っています。
次いで業界第2位の佐川急便(SGホールディングス)と常にシェア争いをしているというのが現状です。
個人向けの宅配業務が過当競争による値下げが続いている一方で、件数自体が減る企業向けの配送業務は逆に値上げをするという傾向も見られており、配送業務そのものを自社で行わず下請けの小さな運送業に依頼するという業界構造も定着しつつあります。
小口の配送業務も決して安定したシェアが維持されているというわけではなく、安値受注サービスを打ち出した日本郵便が業務シェアを数多く受注するという動きも見られています。
ただしそうした無理がやがて日本郵便の業績を悪化させることにもなってしまい、現在では新たに値上げをすることで収益の拡大を狙っています。
比較的新しいニュースではそれまで安価な小口配送をすることができる「メール便」を行っていたヤマトホールディングスが国の方針によりサービス中止に追い込まれるなど業界間の争いもあり、依然として厳しい状況が続いています。