アベノミクス効果により市場は活性化
金融業界はリーマン・ショック以降取引規模が全体的に縮小傾向にありました。
それが2012年以降のアベノミクス実施により株式取引が活発になり、金融業界の中でも証券会社業界での手数料収入が急増しました。
ただし消費税増税後には再び市場全体が息切れを起こしてしまい、2015年3月期の決算は前年度を下回る結果となってしまいました。
それでもリーマン・ショック直後と比較すれば底堅く市場が動いているということもあり、今後しばらくは金融業界全体も安定的に推移をしていくことが予想されています。
証券会社はそれまでのような手数料収入だけに依存するビジネスモデルの危険性気づき、今後は投信の管理費用を収益の柱にするといった新しい営業方法にシフトしてきています。
ですので今後は個人が自ら株式を売買するというのではなく、特定の証券会社に依頼して投資信託をするという資産運用が増えていくことが予想されます。
株式市場取引を活性化させるために導入したNISA(少額投資非課税制度)はそれほど口座開設ペースが増えていないというのが実情で、今後はどう利用率を向上させていくかということが証券会社にとっての一つの課題となります。
グローバル金融の動向がそのまま国内に影響
日本は既に金融部門におけるグローバル化が相当に進んでいることから、海外の金融業界の波の影響を大きく受けるようになっています。
そのためギリシア破綻の余波やシリア情勢による移民問題で苦しい状況が続いているヨーロッパ系金融の影響は大きく、大規模な金融緩和がされたことにより金利が収入が大きく低下するという状態が続いています。
もはや金利収入を前提としたビジネスモデルは全く過去のものとなっており、金融業界においては新たなビジネスモデルの構築が世界各国でされているというのが現状です。
グローバル金融機関として比較的好調なのが米国企業で、ウェルズ・ファーゴやJPモルガン・チェースは世界金融を牽引する存在となっています。
中国系銀行も勢いがあるのですが、表のデータには出てこない景気失速の波は多くの国や資本家が感じ取っており今後近いうちに大きな金融不安が起こるのではないかという懸念もされています。
日本国内においては大手金融機関の統合再編の動きは一段落したものの、今後も突然にメガバンク同士の合併などが起こる可能性もあります。
国内メガバンクの勢力図
現在日本の金融機関として最も大きな流れとなっているのが3メガバンクと言われるものです。
具体的には「三井住友フィナンシャルグループ」「みずほフィナンシャルグループ」「三菱UFJフィナンシャルグループ」の3つです。
このうち「三菱UFJフィナンシャルグループ」が資産規模の大きさで頭一つ抜きん出ている印象がありますが、次いで規模の大きな「三井住友フィナンシャルグループ」も収益力の高さを武器に今後存在感を増していく可能性が十分にあります。
「みずほフィナンシャルグループ」は3メガバンクの中で唯一2015年度決算で減益となっていましたが、外国為替業務が堅調に推移していることから今後の経営基盤は安定していると見てもよいでしょう。